ITストラテジスト試験の出題範囲を徹底解説【午前・午後の頻出テーマ】
午前Ⅰの出題範囲と対策
午前Ⅰは他の高度試験と共通の問題です。応用情報技術者試験レベルの30問(テクノロジ・マネジメント・ストラテジの3分野)が出題されます。応用情報合格者は免除申請できます。
午前Ⅱの出題範囲(経営・IT戦略)
午前Ⅱはストラテジスト専門の25問です。
| カテゴリ | 主なトピック | 重要度 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | SWOT・バランスドスコアカード・ポーターの5力・バリューチェーン・ブルーオーシャン戦略 | ★★★★★ |
| IT戦略 | EA(エンタープライズアーキテクチャ)・IT-BSC・ITIL・SaaS/PaaS/IaaS | ★★★★★ |
| 情報システム企画 | 要件定義・業務分析・BPR・システム投資評価(ROI・NPV・IRR) | ★★★★☆ |
| プロジェクトマネジメント | WBS・PERT・EVMの基礎・リスク管理 | ★★★☆☆ |
| 法務・コンプライアンス | 情報セキュリティ関連法・個人情報保護・知的財産権 | ★★★☆☆ |
午後Ⅰの出題傾向
午後Ⅰは90分・3問中2問選択の記述式です。企業のDX推進・IT戦略策定・システム企画などの事例問題に対して、分析・判断・提案を記述します。
よく出る午後Ⅰのテーマ
- DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の課題と解決策
- IT投資計画の策定・評価(ROI計算・優先順位付け)
- クラウド移行戦略・マルチクラウド活用
- セキュリティリスクへの対応と経営への提言
- ビジネスと情報システムのアライメント(整合性確保)
- ベンダー選定・調達戦略
午後Ⅱ(論述)の出題テーマ
午後Ⅱは120分の論述式です。3問から1問選択し、設問ア(200字)・設問イ(600〜1,200字)・設問ウ(400〜800字)を書きます。
| 出題テーマ例 | 論じる主な内容 |
|---|---|
| IT戦略の立案 | 経営課題をどのようにIT戦略に落とし込んだか |
| DXの推進 | デジタル技術を活用した業務変革の計画と実行 |
| IT投資の評価と最適化 | 投資効果の定量・定性評価と今後の改善 |
| 情報セキュリティ戦略 | 経営リスクとしてのセキュリティ課題への対応 |
| クラウド活用戦略 | クラウド移行・活用によるビジネス価値の創出 |
優先学習分野
| 優先度 | 分野 | 理由 |
|---|---|---|
| 最優先 | 経営戦略フレームワーク(SWOT・BSC・ポーター等) | 午前Ⅱ・午後Ⅰ・論文のすべてに必要 |
| 最優先 | IT戦略・EA・情報システム企画 | ストラテジスト固有の核心分野 |
| 高 | DX・クラウド・セキュリティの最新動向 | 午後Ⅰ・論文で毎年出る時事テーマ |
| 高 | IT投資評価(ROI・NPV) | 午後Ⅰで数値計算を含む問題が出る |
| 中 | 午前Ⅰ(応用情報レベル) | 免除がなければ過去問演習で対策 |
各段階の合格基準と評価
ITストラテジスト試験の合否判定は、単なる「点数の合計」ではなく「各区分の独立した評価」で決まります。
午前Ⅰ・午前Ⅱの評価基準
両区分とも「60点以上」で合格です。配点は4択×1点のため、明確です。ただし「アルファベット選択肢の分析」が重要です。
午後Ⅰの評価基準
設問ごとに部分点が与えられ、「2問の合計で60点以上」が合格基準です。ただし「0点の設問が多い」と全体で60点に到達しにくいため、「すべての設問に何か書く」ことが重要です。
午後Ⅱ(論文)の評価基準
午前Ⅰ~午後Ⅰで合格した者のみが対象となり、「ランクA」が合格です。評価は「具体性・論理性・実現可能性」の3観点で行われます。
出題傾向の年別変化
ITストラテジストの出題テーマは、その年の経営トレンドを反映しています。
直近5年の傾向分析
2020年度前後:クラウド化・セキュリティが頻出
- 新型コロナによるテレワーク化に伴い、クラウド活用とセキュリティが重視
2021年度:DX推進・AI活用が重視
- デジタル庁設立など政府のDX政策に連動
2022年度:サプライチェーン最適化・カーボンニュートラル対応
- ウクライナ情勢、地政学的リスクへの対応
2023年度以降:生成AI(ChatGPT等)の活用戦略
- 急速に広がるAI技術に対応したIT戦略の立案
このトレンド変化を踏まえると、試験対策では「最新版の参考書」「最新のニュース・経済誌」の活用が重要です
午前Ⅰの詳細解説
出題範囲と特徴
午前Ⅰは、システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ネットワークスペシャリストなど他の高度試験と共通の問題です。このため、受験者層が多く、過去問の供給も豊富です。
テクノロジ分野の頻出テーマ
- システム開発技術(ウォーターフォール・アジャイル・DevOps)
- データベース基礎(関数従属性・正規化)
- ネットワーク基礎(TCP/IP・プロトコル)
- セキュリティ技術(暗号化・認証・脆弱性対策)
- システム運用(監視・バックアップ・災害対応)
マネジメント分野の頻出テーマ
- プロジェクト管理(WBS・PERT・EVMなどの用語と計算)
- ITサービス管理(ITIL)
- ヘルプデスク・保守管理
- 品質管理(QA・テスト)
ストラテジ分野の頻出テーマ
- 企業活動(経営指標・財務)
- 法務(著作権・個人情報保護法)
- 情報セキュリティ管理体制
午前Ⅰ対策のポイント
応用情報技術者試験に比べると「知識の深さ」より「広さ」が問われます。各分野を浅くても広く理解することが重要です。過去10年分の問題を演習すれば、出題パターンが見えてきます。
午後Ⅰのテーマ別対策ガイド
DX推進テーマの構成パターン
多くの場合、「企業が直面するデジタル化の課題→それに対するIT戦略の提案」という流れです。採点官が見るポイント:
- 経営課題と施策の関連性が明確か
- デジタル技術をどのように活用するか具体的か
- 導入後の評価軸(KPI)が示されているか
IT投資評価テーマのポイント
複数の投資案が提示され、「どれを優先するべきか」を判断する問題が典型です。採点官が見るポイント:
- ROI・NPV・TCOなどの計算が正確か
- 定量評価だけでなく定性的判断(戦略的重要性など)も考慮しているか
- リスク要因を指摘しているか
クラウド移行テーマのポイント
「既存のオンプレミスシステム→クラウド」という移行決定の妥当性、移行計画、リスク対応を問う問題が多くあります。採点官が見るポイント:
- クラウド化のメリット・デメリットを把握しているか
- 移行のロードマップが現実的か
- セキュリティ・コンプライアンスの課題に対応できているか
採点官が見るポイント(午後Ⅰ・午後Ⅱ共通)
試験の採点は、IPA公式の「採点講評」に記載されています。合格論文・失敗論文の具体例を知ることが、高得点への近道です。
評価が高い解答の特徴
- 問題文から必要情報を正確に抽出 :長い事例文の中から採点官が期待する情報を見落としていない
- 経営視点での判断 :技術的な正確さより、「経営課題の解決に貢献しているか」という視点
- 具体的な施策と効果の結びつけ :「〇〇という施策により△△という効果を得られる」という因果関係が明確
- 数値やKPIを含める :「コスト削減」ではなく「年間3,000万円削減」という定量化
評価が低い解答の特徴
- 問題文をそのまま写す :設問に対する「自分の考え」が見られない
- IT技術の説明に終始 :「何をするか」は書いているが「なぜそうするのか」の経営的根拠がない
- 曖昧な表現 :「改善される」「効率化される」など効果を定量化していない
- 設問の要求を外す :「理由を述べよ」と言われて「対策を述べる」など、読み間違い
よくある質問(FAQ)
Q1:午前Ⅰと午前Ⅱの合格基準は別々ですか?
A:はい、別々です。午前Ⅰ(60点以上)と午前Ⅱ(60点以上)の両方を合格する必要があります。午前Ⅱで90点取っても、午前Ⅰが60点未満なら不合格です。ただし応用情報合格者は午前Ⅰの免除申請ができるため、午前Ⅱのみに集中できます。
Q2:午後Ⅰで3問中2問選択とありますが、得意な問題を選んでいいですか?
A:もちろんです。試験時間内に3問すべてに目を通し、最も自信がある(理解しやすい)2問を選びましょう。ただし、本番前の練習では「選べない」ことを想定して、すべてのテーマの過去問を解いておくことが重要です。
Q3:午後Ⅰの採点はどのようにされますか?
A:設問ごとに部分点が与えられます。完璧な解答でなくても、設問の要求の60〜70%を満たしていれば合格基準(60点以上)に達します。完璧主義を捨て、「何か書く」ことが大切です。
まとめ
📝 この記事のまとめ 午前ⅡはSWOT・BSC・EA・IT投資評価などの経営×IT戦略が頻出。 午後Ⅰは企業のIT戦略・DX推進の記述問題。分析力と提案力が問われる。 午後Ⅱ論述はIT戦略立案・DX推進・投資評価などが主要テーマ。 優先学習:経営戦略フレームワーク>IT戦略・EA>DX・クラウド最新動向。
次のステップ: 午前Ⅱの頻出テーマをもっと詳しく学びたい方は「ITストラテジスト午前Ⅱの頻出テーマと効率的な対策方法」をご覧ください。SWOT・BSC・ポーター5力などの経営フレームワークを具体的に解説しています。